2019/11/8 (更新日: 2019/12/9)
いやーーー凄まじい試合になりましたね、WBSS決勝 井上尚弥VS ノニト・ドネア!!
一夜開けても未だ興奮が治りません!!!!!
近年の日本ボクシング史上でこれほどの試合があったでしょうか!!既に国内・海外のメディアで年間最優秀試合との呼び声も高い正に歴史的な一戦となりました。
まさか井上尚弥がここまで追い詰められるとは思いませんでした。ドネアのこの一戦にかける思いそして、ベテランの勝負感がドラマを産みましたね。それでもダウンを奪い文句なしの勝利を納めたのはさすがモンスター井上尚弥でしたね。
序盤にドネアの伝家の宝刀である左フックが井上尚弥を襲い、倒すか倒されるか常に手に汗握るヒリヒリのこれぞ正にボクシングの醍醐味とも言える内容の濃い試合でした。その中で全12R何が起こっていたのか。。ここから、徹底解説していきたいと思います。
WBSSバンタム級決勝 井上尚弥VSドネア 全12Rを解説
それでは、早速WBSSバンタム級決勝井上尚弥VSノニト・ドネア全12Rそれでは各ラウンドの解説に入ります。
第1ラウンド
まずは注目の立ち上がりです。
ファーストパンチは井上尚弥のボディジャブから、距離を取り合いジャブの差し合いが続きます。
お互い慎重な立ち上がりですが、スピードに勝る井上選手が徐々にペースを掴み、試合の主導権を握ります。
井上尚弥の完璧な立ち上がりでした。
この時点で私は、井上選手の序盤でのKO勝ちを予測しました。
採点は10-9 井上尚弥
第2ラウンド
まさかのアクシデントが起こった第2ラウンドです。
試合後の井上陣営もここで全てが狂ったと言っていました。
ドネアのパンチを見切った感じがあり、徐々に強いパンチを出していく井上尚弥。KOの匂いすら感じさせました。
距離を詰めようとするドネアに的確なジャブを突き、ペースを与えません。
またドネアのパンチ力を測るかのようにブロッキングでパンチを受けますが、余裕がありそうです。
しかし、ここでアクシデントが起こります。ロープ際で放ったドネアの左フックが井上尚弥の目尻をカットさせます。左ボディと見せかけての左フックが完璧に入りました。正にドネアの勝負感が光りました。そして、井上尚弥はプロ・アマ両キャリアを通じて初めてのカットとのこと。
完璧な立ち上がりの井上尚弥にまさかのアクシデント。この先どうなるのか。
採点は10-9 井上尚弥
第3ラウンド
右眼のカットの影響からか、足を使ってのアウトボクシングを井上尚弥が展開。
ドネアがそれを追うが左で上手くコントロールし、要所で左フックのカウンターも入れる
井上の右のガードはかなり高く、よりディフェンシブな印象。
判定も視野に入れた戦略か。
採点は10-9 井上尚弥
第4ラウンド
インターバル中に鼻血が見えた井上尚弥、今までにない光景です。カットを含めてどのような影響を受けるのか。まさかこんな傷ついた井上尚弥の顔を見ることになるとは。
3ラウンドに引き続き、アウトボクシングを展開。右のガードは未だ高く、右眼を庇っているようにも見えます。とにかく、同じ場所にパンチをもらわないようにということでしょう。
パンチを慎重に見て、左ジャブ、右ストレートをカウンター気味に入れて行きます。右アッパーなどパンチのバリエーションも増えてきました。ドネアは追いかけるも井上をとらえきれず。アクシデントがあったにも関わらずこの対応はさすがです。
採点は10-9 井上尚弥
第5ラウンド
右眼のカットから感覚が戻ってきたのか、ドネアのパンチを完全に見切っての立ち上がり。左のガードも下げ、アグレッシブさが増してきました。
巧みなディフェンステクニックをみせ、的確にコンビネーションを繰り出していきます。そして第5ラウンド残り30秒付近、ドネアの左ジャブに合わせた井上尚弥の右カウンターが決まり、ドネアをぐらつかせます。
井上が仕留めにかかりますが、ドネアも左フックで応戦。まだパンチは生きてます。
遂に試合が動き始めました。
採点は10-9 井上尚弥
第6ラウンド
第5ラウンド終盤にドネアをぐらつかせた井上尚弥、このラウンドで一気に出るか。
観客のボルテージも上がります。
お互いに見合いながら、一発を狙い合うような立ち上がり。
一気に畳みかけに行くと思いきや、丁寧に距離を測りながら、慎重に攻めます。
それほど、ドネアの一撃が脅威ということでしょう。
採点は10-9 井上尚弥
第7ラウンド
立ち上がり足を使って距離をとる井上尚弥。
ドネアは何かを狙っているような雰囲気。
ドネアの強烈なワンツーが井上を襲って行く。井上は少し勢いが止まってきた印象。
採点は際どいですが、9-10ドネア。
遂にドネアがギアを入れてきたか。
第8ラウンド
インターバル中に下半身に力が入らないとの情報。この影響がどう出てくるか。
その影響もあってからか、ドネアが遂に井上を捉えて初めます。左に合わせての綺麗な右ストレートが井上に入ります。井上も応戦しますが、やや押され気味な印象。ドネアはボディ内も含め、パンチのバリエーションも増えてきてます。
足が止まり初めた井上をドネアが捉える。終盤にはヒヤリとするシーンもありました。
井上の出血も目立ちます。インターバルでは「目に入って何も見えんかった。」と井上尚弥。まさかが起こってしまうのか。。。
採点は9-10 ドネア
第9ラウンド
序盤はふたたび足を使い、ドネアをいなす井上尚弥。ダメージがあるのか、手数も減り休むような印象。
しかし、9ラウンド1分過ぎ、井上の左に合わせたドネアの右カウンターが入り、井上を遂にぐらつかせます。この試合のドネアのベストショットではないでしょうか。必死でクリンチに逃げる井上尚弥、確実に効いています。井上尚弥のKO負けも頭をよぎる。こんな展開を誰が予想したでしょうか。
KO負けが頭をよぎる中、一気にドネアが畳みかけにくと思いきや、来ません。ドネアも井上の一撃のカウンターを警戒しているのでしょう。結果的にここがターニングポイントになったと思います。もし、ここでドネアが一気に来ていたら、どうなっていたのか。。。衝撃の第9ラウンド終了です。
採点は9-10 ドネア
第10ラウンド
いよいよ残り3ラウンドです。第9ラウンド追い込まれた井上尚弥どうなるのか。
ドネア消耗か、思ったより手数が出ません。逆に先ほどのラウンドとうって変わってスピードを生かした攻撃を井上尚弥が展開。ガードも少し下げ、アグレッシブに攻めます。そして、代名詞でもある左ボディショットも出始めます。
終盤には攻防一体の井上らしい超絶テクニックが飛び出しドネアを捉えます。井上尚弥ペースを取り戻して来たか。
採点は10-9 井上尚弥
第11ラウンド
10ラウンド終了後、観客を煽る井上尚弥。モンスター遂に仕掛けるか。
運命の第11ラウンド開始です。
序盤からワンツーを中心に一気に攻勢をかける井上尚弥。ドネアはあまり手が出ません。
そして、11ラウンド1分10秒ごろ、遂に遂に井上の左ボディがドネアの腹を抉り取ります。
たまらずコーナーにより、たまらずダウンするドネア。右アッパーからの左ボディショット、ドネアのガードをアッパーで突き上げ、がら空きのボディにもろに入りました。
これで試合が終わってしまうのか。しかし、ドネアも執念をみせ、10カウントギリギリで立ち上がります。
井上が仕留めにいきサンドバック状態のドネアと思いきや、随所で左フックのカウンターをみせてきます。まだドネアのパンチは生きています。
とうとう炸裂した井上尚弥のボディショット。2万人を超える観客のボルテージもMAXです。
激闘も残るところあと1ラウンドとなりました。
採点は10-8 井上尚弥
最終第12R
遂に最終12R遂にこの激闘も終わりを迎えます。
お互いに何かを狙っているような立ち上がり倒しに行くか。
テクニックとスピードで翻弄する井上尚弥。執念で追いかけるドネア。
最終ラウンド1分30秒付近井上のワンツーがドネアをぐらつかせます。しかし、最後まで打ち返すドネア凄まじいまでの執念です。
試合終了。
採点は10-9 井上尚弥
まとめ
判定は3-0で井上尚弥!!
遂に遂に井上尚弥がWBSSバンタム級トーナメントを制しました。
しかし、こんな展開誰が予想したでしょうか。私を含む、ほとんどの方が井上尚弥の序盤での圧勝を予想していたと思います。序盤でのアクシデント、ドネアの強烈なパンチで初めて聞かされるモンスター井上尚弥。もしかしたら。。の条件は整っていました。
しかしこれぞボクシング・格闘技の醍醐味です。こんな凄まじい試合を見れた私たちは幸せだと思います。井上尚弥選手、ノニト・ドネア選手感動をありがとう!!!!
WBSSバンタム級決勝 井上尚弥VSドネア 公式採点および試合総括
それでは最後に公式のジャッジ採点を見ていきましょう。今回の試合のジャッジは、アメリカ、パナマ、イタリアの審判がジャッジを行いました。
ジャッジ1(アメリカ) | ジャッジ2(パナマ) | ジャッジ3(イタリア) | |
ドネア 井上 | ドネア 井上 | ドネア 井上 | |
1R | 9 10 | 9 10 | 9 10 |
2R | 10 9 | 9 10 | 10 9 |
3R | 10 9 | 9 10 | 9 10 |
4R | 9 10 | 9 10 | 9 10 |
5R | 9 10 | 8 10 | 9 10 |
6R | 10 9 | 9 10 | 9 10 |
7R | 10 9 | 10 9 | 10 9 |
8R | 10 9 | 10 9 | 10 9 |
9R | 10 9 | 10 9 | 10 9 |
10R | 8 10 | 9 10 | 9 10 |
11R | 8 10 | 8 10 | 8 10 |
12R | 9 10 | 9 10 | 9 10 |
計 | 113 114 | 109 117 | 111 116 |
私の採点は、117対110で井上尚弥です。
113対114は、少し信じられないような採点ですが、出血の印象が悪かったのでしょうか。
幻の10カウントもありましたが、そのおかげで井上尚弥が12Rフルで見ることができたので良しとしましょう。(笑)
試合を総括するといつも通りの序盤でのKO勝利とは行きませんでしたが、序盤のアクシデントによりゲームプランの変更を余儀なくされながらも、冷静に試合を運び第11ラウンドにはダウンも奪いました。また、不安視されていた「もしかしたら打たれ弱いのでは??」という不安も解消されました。そして、パワーだけでなく、テクニック、タフネス、そして試合を優位にコントロールするボクシングIQの高さも披露しました。この経験を糧により強さを増していくでしょう。
試合後の会見では、かねてより噂されていたTopRank社との契約が発表されました。今後はアメリカを主戦場とし、未だかつて日本人が体験したことのないステージに井上尚弥が向かっていきます。強豪がひしめくステージでセンセーショナルを起こせるか。井上尚弥の第2章が幕を明けます。
*2019/11/23追記 採点ページ作りました。みなさんの採点を聞かせてください。