2020/1/3(更新日: 2020/1/3)
2019年大晦日、WBOフライ級タイトルマッチ田中恒成VSトロハツが行われました。
田中選手は井上選手、村田選手、井岡選手に比べれば一般的な知名度はいまいちですが、確かな実力を持った選手です。
アマチュア時代はモンスター井上尚弥の弟、拓真としのぎを削りあい、高校4冠を達成。
プロ転向後は、井上尚弥を上回る5戦目で世界王者に輝き、その後、8戦目で2階級制覇、更に12戦目であのワシル・ロマチェンコに並ぶ世界最速での3階級制覇を成し遂げています。
しかし、調子にムラがあるのか、意外な相手に苦戦したりダウンを奪われたりと圧倒的な力を見せつけているとは言えません。(それが木村翔選手との激戦など名勝負を繰り広げるきっかけになったりしているので、悪いことばかりではないのですが。)
そんな田中選手ですが、今回は格下相手ながらも圧倒的なパフォーマンスで見事KO勝利を納めました。
ついに覚醒の時か。高速コンビネーションで相手を追い詰めたKOラウンドをピックアップして試合を分析していきたいと思います。
田中恒成VSトロハツ 3ラウンドのパンチデータ


パンチ数 | ヒット数 | ヒット率 | |
左ジャブ | 29 | 2 | 7% |
右ストレート | 5 | 1 | 20% |
左フック | 8 | 0 | 0% |
右フック | 0 | 0 | 0% |
左ボディ | 2 | 1 | 50% |
右ボディ | 3 | 1 | 33% |
左アッパー | 3 | 2 | 67% |
右アッパー | 3 | 3 | 67% |
全パンチ | 53 | 9 | 17% |
3Rに田中恒成選手が放ったパンチは53発、その内ヒットは9発、ヒット率は17%です。
手数は多いですが、ヒット率はやや物足りない。
特に左ジャブは29発中、ヒット2発のヒット率7%と低調です。
KOを意識しているためか、雑になる印象が。
もっとジャブを的確に当てて行けば、より簡単に試合を進められると思います。
アマチュアエリートでテクニックの高い選手なだけにこのあたりはもったいない気がします。
しかし、フィニッシュは圧巻でした。
もともと高速コンビネーションに定評のある田中選手の右アッパーから左アッパーのダブル。
相手のトロハツは完全に効いて10カウントで立つことはできませんでした。
アッパー、特に左アッパーは難しいパンチの一つで、日本人で有効に使える選手は少ないです。
その左アッパーでKOですから、さすがです。
テクニック、スピードのある選手なので、雑にならず、的確な攻撃をすればもっと圧巻の勝利を収めることができると思うので、これからの課題として欲しいです。
続いて、トロハツ選手の3Rのパンチデータです。


パンチ数 | ヒット数 | ヒット率 | |
左ジャブ | 13 | 4 | 31% |
右ストレート | 5 | 1 | 20% |
右フック | 1 | 0 | 0% |
右アッパー | 1 | 0 | 0% |
全パンチ | 20 | 5 | 25% |
3Rにトロハツが放ったパンチは20発、その内ヒットは5発、ヒット率は25%です。
手数こそ少ないものののヒット率は、25%と高いです。
特に3R序盤にはクロスカウンター気味に右のオーバーハンドを当てられています。
幸いダメージは深くありませんでしたが、相手がハードパンチャーであったなら、危ないシーンでした。
他にもジャブを4発貰っており、真正面からのクリーンヒットが目立ちました。
田中選手は、攻撃に比重を置きすぎなせいか、ガードが低いことが多く、そのために被弾が増えています。
前述している通りKOを意識している影響だとは思うのですが、田中選手のテクニック、スピードを考えると被弾しすぎだと思います。
これから、強豪選手と闘っていくことを考えるとこの点は改善すべきです。
特に対戦をアピールしている井岡一翔選手に勝利するならば、必須事項になってくるでしょう。
田中恒成VSトロハツ まとめ
良い点以上に改善点を多く並べましたが、これはそのまま田中恒成選手の伸びしろだと思います。
世界最速で3階級を制覇した田中恒成選手ですが、まだまだ本領は発揮していないと私は感じています。
田中選手が本当の意味で覚醒する時、その時は井上尚弥選手にも勝るとも劣らないボクサーになるのではと信じています。
2020年は井岡一翔選手に続き、4階級制覇を狙う田中恒成選手。
東京五輪行きをほぼ手中に収めている兄の田中亮明選手と共に注目です。
最後までありがとうございました、それでは。
*パンチ数、種類は独自に手動で計測したものです。肉眼での計測のため、正確なものとは限りませんので、ご了承下さい。